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a.k.a. チラ裏

化物語の英題は本当にGhostoryなのか

 「化物語の英題はGhostoryらしい。訳した人マジ天才」

 これはインターネットをさまよっていると定期的に目にする文言である*1。だが断言しよう。これを書き込んだヤツはGhostoryでググったことがない。

化物語の英題はGhostoryではない

 Ghostoryで画像検索すると、以下の検索結果となった。

Ghostory - Google 検索

 なんだ、物語シリーズの絵があるじゃないかと思うかもしれないが、これらはいずれも公式サイトや販売ページに繋がっていない。なんだったら多くはおそらく日本語話者が作成した(謎の)ページである*2

 じゃあ化物語の本当の英題はなんなんだよと思ったそこのアナタ。アナタはもう答えにたどり着いている。

BAKEMONOGATARI 1 eBook : NISIOISIN, Illustrated by VOFAN: Amazon.co.uk: Kindle Store

 BAKEMONOGATARIである*3そのままだ。

Ghostoryはどこから来たのか

 では化物語の英題がGhostoryであるという言説はどこから来たのか。ネット上で確認できた最古の書き込みはこれだ。

 このツイートを信じるなら、化物語のTVアニメ第一話の放送日は2009年7月3日であり、わずか20日で既にGhostoryというアンオフィシャル英題が誕生していたらしい。
 ここからは完全に憶測になるが、Ghostoryはおそらく日本語話者、少なくとも英語のノンネイティブが考えたものだろう。というのも、化物語は上下巻で5つの短編が収録されているので、Ghostory的な言い回しにするにしてもGhostoriesとなるはずだからだ*4。その線で行くと、2009年当時はまだまだはびこっていた違法アップロードが関係しているような気がする。Ghostoryが誕生するまでの期間の短さから考えて、日本の違法アップローダーが何故かクリエイティビティを発揮してGhostoryというアンオフィシャル英題を付けた、というのが有り得そうなラインだが、今となっては調べようもない。真相は闇の中である。

*1:これとか。

コロモー on Twitter: "みんながアゲてくれた『天才だろと思った翻訳』 https://t.co/eZWBC6f6pf" / Twitter

これとか。

コロモー on Twitter: "みんながアゲてくれた『海外だとこんなタイトルなのか』と思う作品 https://t.co/6G6SX8dlaB" / Twitter

*2:実際に飛んでみるとわかる。暇な人はどうぞ。

*3:副題でMONSTER TALEと続く。BAKEMONOGATARIだけでは英語話者には意味が取れないからだろう。ちなみに偽物語の副題はFAKE TALE、猫物語の副題はCAT TALEである。

*4:実際、学校の怪談の英題はGhost Storiesである。

https://www.amazon.co.uk/gp/video/detail/B08MBXMT8P/